大学に受かって亀頭増大の手術をうけたみたい

彼も浪人したと聞いていた。
風のうわさで、私が行っていた予備校とは違うところに入ったはずだった。
それが、靴屋で再会したのである。
久しぶりに声をかけるともうすぐバイトが終わるので話でもしようや、ということになった。
そこはお互い時間の自由がきく浪人生。
彼のバイトが終わって喫茶店へ入った。
たった数か月のことであるが、お互い近況報告し、私は疑問に思っていたことを聞いてみた。
「なんでバイトなんかしてるの?」
そう、私は将来の不安があって、バイトをするどころでなかったのである。
「大学が決まったらすぐにやりたいことがある。そのためにはどうしてもお金がいるんだ」
彼のところは、それほどお金に困る家庭ではない。
下宿しようが、私立にいこうが問題ないはずである。
「大学が決まったらやりたいことって何?」
興味があって聞いてみたが、なかなか口を割らない。
しばらく沈黙が続いたあと、彼はボソッと言い放つ。
「大学が決まったら亀頭増大の手術をして、馬鹿にされないようにするんだ。だって、大学いったらかわいい女の子たくさんいるだろ、ナンパしてやりまくるんだ」
そう、彼は、非常がつくほど、女好き。
しかし、そこは田舎の高校生。
どうも、ある時までは、自分が包茎であるということに気づいていなかったらしい。
とある街に出てきて、ナンパしてうまくいったと思ったら、ホテルで思いっきり笑われたみたいなのだ。
それがトラウマとなった彼は、浪人生卒業と同時に包茎も卒業する計画でいたのである。
当然、その手術費用は、親には言えない。そこで、予備校の間にそのお金を捻出しようとしたのである。
亀頭増大の治療で有名な新宿形成外科というクリニックのパンフレットも見せてもらった。
その後、彼とはなぜか会う機会がなかった。
そして。今まで顔を合わせる機会はなかった。
風の噂では、2浪したがどうもダメだったらしい。
専門学校へ行って、現在は2人のパパになったらしい。
彼は浪人生を卒業できなかった。
だが、包茎は卒業はしたんだろう。